はじめに
この記事を読んでほしい方
- 現在刑務所に知り合いがいる方
- 捕まった人が知り合いにいる方
刑務所、警察署、拘置所という場所にいると、
時間が止まっているように感じる日があります。
何もできない葛藤、
怒りや将来に対する不安、
後悔に押しつぶされそうになる日もある。
だけど、そんな中でも、本だけは違った。
ページをめくるたびに心が動き、
考えが深まり、
少しずつ「前を向く準備」ができていった。
服役中の人に、
どんな言葉をかけたらいいかわからない。
手紙を書くにも、
気を遣ってしまう。
「頑張って」と言うのは簡単だけど、
本当に伝えたいのは、
もっと深くて静かな気持ち。
そんなとき、
本が代わりに想いを届けてくれることがあります。
この記事では、
かつて塀の中で自分を支えてくれた、
そして今も「誰かに差し入れたい」と思える5冊を紹介します。
1. 『嫌われる勇気』|岸見一郎・古賀史健(自己啓発)
「他人の期待を生きるな」──アドラー心理学が人生を変える
哲人と青年の対話形式で書かれた本。
人にどう思われるかばかり気にしていた自分に、
真正面から
「それは他人の課題だ」
と教えてくれた一冊。
塀の中では、
余計なプライドや人間関係に苦しむことも多かったです。
でもこの本を読むと、
自分の人生を自分で引き受ける覚悟ができる。
他人の期待に応える必要はない。
自分の人生は自分で選択して、
その結果を受け入れるしかない。
→ 差し入れにオススメの理由:
「変わりたい」と思っている前科者にとって、
最初の一歩を後押ししてくれる“人生の教科書”。
この本を読んで、
今まで他人の人生を生きていたと思い、
自分の人生を生きようときっかけを与えてくれた本です。
2. 『まんがでわかる 7つの習慣』|フランクリン・コヴィー(実用・漫画)
自分を変えるには、まず“習慣”を変えることから始まる
実際に読んで、「これは出所後の“地図”になる」と感じた本。
・主体的に生きる
・最終目標を持って行動する
・信頼関係の築き方
…こういったことが、
マンガでスッと頭に入ってくる。
→ 差し入れにオススメの理由:
字が苦手な人にも読めるし、
再出発を考えている人にとっては“武器”になる。
ただ読んだけでは、なんも意味がない本です。
実践してはじめて、読んだ意味がある本です。
3. 『影響力の武器 第3版』|ロバート・チャルディーニ(心理学・実用)
なぜ人は「ついYESと言ってしまう」のか?
詐欺、押し売り、洗脳、騙し…
そんな“人を操る技術”を科学的に暴いている本。
刑務所の中でも外でも、
人間関係の駆け引きって避けられない。
でもこの本を読めば、
「騙される側」から「見抜く側」になれる。
→ 差し入れにオススメの理由:
人間関係や交渉、
仕事にも応用できるスキルが満載。
知識として持っているだけで、
自信につながる。
返報性の法則は、
何かしてもらったら、相手にも何かしてあげたくなる。
悪用する人もいますが、
うまく使ってほしいです。
たとえば、
スーパーで無料の食品をサンプルで渡す人から、
受け取ると、何かしてあげようと思い、
ついつい、買ってしまう。
心理学が学べ、
人を見抜く目が養われます。
4. 『覚悟の磨き方』|超訳 吉田松陰(生き方・思想)
「人生に迷ったら、“志”を問い直せ」
江戸時代の思想家・吉田松陰の言葉を、
現代語訳とともにコンパクトにまとめた一冊。
松陰の言葉は、どれも胸に突き刺さる。
「人間は、志によって生き方が変わる」
このシンプルで強いメッセージが、
自分の内側を変えてくれた。
→ 差し入れにオススメの理由:
過去を悔やむ時間が長い人に読んでほしい。
「これから、どう生きるか」に意識を向けさせてくれる。
刑務所から出た時がスタートです。
そのスタートをどう切っていくのか?
志ひとつで行動が変わります。
どうなりたいか?
どうありたいか?
ブレない芯をつくるきっかけになりました。
5. 『手紙』|東野圭吾(小説・人間ドラマ)
「罪を犯した家族を持つ」という現実に向き合う物語
兄が強盗殺人で服役中の弟が、
社会で「加害者家族」として差別や偏見に苦しむ姿を描いた作品。
加害者本人ではなく、
周囲の人間が背負う十字架。
これは、
当事者になって初めて痛みが分かるテーマ。
読んでいて辛くなる場面も多い。
でも、だからこそ「本当の反省とは何か」が胸に響いた。
→ 差し入れにオススメの理由:
自分の行動が、
どれだけ他人に影響を与えるかを実感できる。
涙なしでは読めない、重くて、でも大切な1冊。
犯罪を犯した本人は、
刑罰を受けて終わりでしょ??
そんなことを思っている人に読んでほしい。
社会に残された家族、身内は、
社会で戦っている。
犯罪を犯した本人は、
塀で守られている。
過去の自分が読んでいたら、
安易に犯罪行為をしていなかったかもしれない。
■最後に:塀の中でも、本は“心の自由”をくれる
本は何も強制しない。
ただ静かに、
自分と向き合う時間をくれる。
差し入れる本には、
励ましよりも、
「これからの人生を考える材料」が詰まっていてほしい。
罪を犯しても、人生をやり直すことはできる。
でもその覚悟と知恵がなければ、また同じ場所に戻ることになる。
だからこそ、
この5冊は本気でおすすめしたい。
塀の中にいるあの人が、
自分と向き合い、
未来を描くためのヒントになることを願って。
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